「銀と金」実写版ドラマ第1話の原作との違いや感想を書いています。
ネタバレを含みますのでまだ見ていない方はご注意下さい。
※原作を読んだ上での感想です。未読の方はわかりにくいと思います。
銀と金
競馬場。 森田鉄雄の必死の思いもむなしくレース予想はあっさり外れた。ハズレ馬券を地面に叩きつける。その瞬間、地面に散らばる馬券が万札に見えて慌てて拾い集める。
「ハハハ、金に見えたか。オレも昔、金に見えたことがあった」
声をかけてきたのは初老の白髪の男だった。鉄雄の身なりを見て金に困ってることを言い当てる。
「仕事をしないか?日当10万出す」
胡散臭い申し出に哲夫が黙り込んでいると男は言った。
「明日午前9時、新宿都庁前に来い。俺の名前は平井銀ニ」
鉄雄役は、去年デスノートの映画に出演していた池松壮亮。
銀二はリリー・フランキー(!) 。
銀二がリリー・フランキーとはずいぶん思い切ったキャスティングです。イメージ的にはもっと恰幅が良くて頼りがいのあるおっさんという感じなんですが…。
鉄雄のキャスティングはいいとして、キャラ設定が微妙に原作と違いますね。ファミレスでクレーマーの食事を潰して帰るとこなどは、初期のカイジに似ています。鉄雄にこういう陰険な面は無かったはずです。
原作では競馬場から飲み屋に行ってそこで仕事を頼まれたのですが、30分ドラマだとテンポアップするのは仕方のないところでしょう。
ヤミ金業者
約束の場所に現れたバンに乗り、鉄雄は古い一軒家に連れてこられた。運転していたのは安田と呼ばれる男。 バンには他にも、切羽詰まった顔をした男たちが何人も同乗していた。
安田は鉄雄に、家の周りに集まった男たちを一人一人室内に入れるように指示した。
鉄雄が家の中に入ると、銀二が1人部屋の中央の椅子に腰掛けていた。
~オープニング~
早くも安田が登場。ここも原作とは違いますね。
安田役はマキタスポーツ。このキャスティングは 悪くなさそうな気がします。
で、オープニング曲でキャラクター紹介が流れていくんですが…。巽が女性に改変されていました。
福本作品は女のキャラクターが全く出てきませんからね。原作どおりに進めると、ポーカー勝負までは女性キャラは一切出てきません。さすがにテレビドラマでそれは厳しいか…。
銀二が一人一人招き入れた男たちに、法外な利息の融資を貸し付けていく。
(金貸し。行き詰まった連中相手のヤミ金…)
室内に無造作に積まれた段ボールの中に、貸し付け用の現金10億が詰まっているのを見て、鉄雄は息をのんだ。
東京オリンピックの話が出てくるところを見ると、時代は現代にアレンジされているようです。(原作は90年代はじめ )
貸し付けの細かい金利の話などは省略されています。これは時間の関係上やむを得ないですね。
融資が終わった後の、銀行での定期預金の金利のエピソードもカットされています。これは時代背景でカットかもしれません。何しろ原作では、定期預金の金利が6~12パーの話をしていましたからね。今ではインチキ投資話でも見かけない利率です。
試験
「なぁ森田くん、人を1人殺してもらえないか」
銀二は鉄雄の前に5000万円を積み上げて言った 。
余命いくばくもない老人を病の苦しみから解き放ってやってほしい…。というのは建前で、老人の遺産を欲しがる息子の意思をくんでの依頼だった。
どちらにしても、ちょっとした不注意で起こる事故に見せかけるので罪には問われない……それで5,000万円。
「俺は今お前に問うている。悪か…善か」
原作では例え話だけでの依頼だったのに対して、ドラマでは実際に病室へ行っての依頼になっています。
これはいい改変じゃないでしょうか。迫力のあるBGMも相まって、原作よりも緊張感が増しています。
終わったらここに来い。指定されたジャズバーに入る哲雄。店内で待っていた銀次に5000万を返すと言った。
「やっぱり俺には殺しはできない。でもこの世界で生きたい。できることなら億という金を掴んでみたい」
森田の顔を見て銀二は”合格”を告げる。
「お前は金に無抵抗な欲ボケやロボットじゃない。…人だ」
ここでオンナ巽登場。臼田あさ美が演じています。髪の毛パッツンのなかなか可愛らしい女の子。原作ではグラサンをかけためちゃめちゃ怪しいオッサンだったのに…。
他の変更点と言えば料亭がジャズバーになったところでしょうか。客が多くて人目が気になりそうです。
まとめ
いろいろ気になる点はあるものの、30分があっという間に感じるくらい楽しんで見ることができました 。
ただ省略しすぎて、原作を知らない人に面白さが伝わるかどうかは微妙なところではありますが。
特に気になった点は2点。
銀二がやたらと冷血な人間に描かれている。(200万借りて逃げようとした男や病室の老人に対しての扱いなどから)
鉄雄のファミレスで見せた陰険な行動と5000万円を叩き返す行動のちぐはぐさ。
特に銀二が、魅力のない単なる悪党として描かれると原作ファンとしては悲しいですね。
魅力という点ではVシネマの銀二(中条きよし)は素晴らしかったので、リリー版の銀二にも違う味を期待しています。
現代風にアレンジされた銀と金がどうなるのか、これからの展開が楽しみです。