終末のイゼッタ第12話「イゼッタ」のあらすじと感想です。

ネタバレを含みますのでまだ見ていない方はご注意下さい。

 

 

イゼッタ

強行突破

発射準備がまもなく完了するミサイル基地の上空で、イゼッタとゾフィーが睨み合っていた。

「それを使うなんて、私も大概バカだったけどあんたも相当よね」

イゼッタの身に付けた半分の魔石を目にして、ゾフィーはそういった。

「私は誓ったんです。どんなことをしても必ずエイルシュタットを守るって」

地上の戦車からイゼッタに一斉砲撃が始まる。イゼッタはランスでシールドを作り集中放火を弾き返した。

 

世界会議に向かうフィーネ一行は、道中の検問でバスラーに発見されてしまう。

「残念だよ、まさかほんとにあんたが裏切ったとはな。ベルクマン」

ジークはアクセルを踏んで検問を強行突破する。車を失いベルクマンにも逃げられてしまうが、追撃を振り切り会議に向かうのがやっとだった。

 

ベルクマンの離脱が思ったより早いですね。もうひと頑張り活躍してくれそうな気がしましたが…。

それにしても雑な検問です。世界の代表が集まる場所とは思えません。中立国のヴェストリアなのでゲール兵もあまり無茶は出来ないということですかね。

魔石を持つ魔女の戦い

ゲールの戦闘機とゾフィーの攻撃をかわしながら何とかミサイルに近づこうとするイゼッタ。

「あれを止めたいの?そう、でもダァメ!」

ゾフィーはランスだけでなく地上の戦車さえも巨大な魔力によって飛ばしてくる。激しい攻撃の前に、イゼッタはミサイルに近づくことができなかった。

ベルクマンの言葉を思い出したイゼッタは作戦を変える。

「あの人を基地から引き離せば、ミサイルは発射できない」

旋回してその場から離脱するイゼッタ。ゾフィーもすかさず追撃する。音速で飛ぶ2人のスピードに、ゲールの戦闘機では全く追いつくことができなかった。

「錯乱したか、目的を忘れおって…。大丈夫だ、予備はある」

エリザベートがミサイル発射のために運び込ませたのは、胸にエクセニウムを埋め込んだゾフィーのクローン体だった。

 

魔石つえー。お互いに戦闘機や戦車をポンポン投げあっています。でもあれは無人機じゃなくて中に人が乗っているんですよね。ぶん投げられるほうはたまったものではありません。

しかし、ゾフィーがいなくてもクローンでミサイル発射ができるなら、作戦は完全に失敗に終わりそうです。

 

奔走と逃走

ヴェストリアで行われている会議では、ゲルマニア帝国の新兵器の映像が流されていた。その威力に息を呑む各国の要人たち。

「間もなくこのミサイルの試作品が、ランツブルックに向け放たれる予定です」

どよめく一同。

「1つの国家が瞬時に地上から消滅する様をご覧いただく。それこそがこの会議の目的なのですよ」

 

フィーネとビアンカを会議に送り込むため、囮役を買って出たジーク。目の前に立ちはだかった若いゲール兵に銃を向ける。

ジークが射殺した若きエイルシュタット兵のヨナスそっくりの顔…。

その顔を見て動きが止まったジークは、あえなく敵の銃弾の前に倒れてしまった。

 

川辺に止めたボートの中に偽造パスポートを隠していたベルクマン。

「寝返って、裏切って。なあ、あんたはどうしたいんだ?」

いつの間にか背後に銃を構えたバスラーが立っていた。

「種をまいただけだよ。エイルシュタットが勝てば僕が生き残る確率が上がるからね」

自分さえよければいいというベルクマンの理屈をなじるバスラー。

「リッケルトは…あいつはあんたのことを信じてたんだぞ!国のために戦ってるって」

「 なるほど、だから彼は死んだんだ」

バスラーは引き金を引いた。

 

ジークを撃った兵士は、全然ヨナスに似てないんですよね。ちょっと雰囲気が近いだけの男をヨナスと見間違えるとは、よほど心の中に罪悪感を抱えていたのでしょう。国を守るために手段を選ばなかった冷徹な参謀ジークも、人間だったということでしょう。

バスラーの行動は想像とは違いました。皇帝のやり方に疑問があったようなので、ベルクマンに協力するかと思いました。エースパイロットの頭の中には、愛国心と戦友への思いというまっすぐな気持ちしかなかったようです。

フィーネの到着

会議ではゲルマニア代表のハイゼンベルクが、高圧的に議定書へのサインを求めていた。

そこに到着したフィーネの声が響き渡る。

「今、わが魔女イゼッタがゲールの魔女ゾフィーと戦っております。その戦いが終わるまで、軽々に条件を飲まれてはなりません」

イゼッタが強大な力を手に入れてゾフィーと戦っていることを説明する。ゲールを倒すことが可能だと聞いて、会議に集まった要人たちはどよめいた。

しかし、アトランタ合衆国の大使スタンリーは、フィーネがオットーに成り代わって新たな世界の脅威になるかも知れないと懸念する。

「あなたがオットー皇帝の如き野望を持った場合、今度は誰がそれを止めることができましょう。お答えいただきたい」

 

このおっさんは魔女の力を国の脅威と感じて、ゲルマニアもエイルシュタットも滅ぼすべきだと進言していた人ですね。常にナンバーワンでありたいという大国ならではの考え方ではありますが、魔女の力を兵器と考えればもっともな理屈でもあります。

白き魔女の真実

「しぶといわね。あんな国のために…」

ゾフィーはエイルシュタットを憎む理由を語りだす。

ゾフィーを裏切ったのは王妃本人ではなくマティアスの遺言だった。魔女の力を恐れられてエイルシュタットが孤立するのを防ぐための王の決断。

「彼のために一生懸命戦ったのに!あんなにたくさん…殺したのに。だから滅ぼす。あの男の国も子孫たちも!」

ゾフィーの怒りの波動に弾き飛ばされるて、鉄塔に叩きつけられるイゼッタ。鉄塔が真ん中からポッキリと折れる。

「マティアスさんは王様ですよね。なら当たり前です。きっと辛かったと、きっと悩んだんだと思います。愛していたから。でも、みんなの命を預かる人はたった1人にこだわってダメなんだって、私の姫様はそれを知っている人です。だから、私の全部を上げられる!」

折れた鉄塔をゾフィーに向かって放つイゼッタ。

「私の命でフィーネの願いが叶うなら、私はきっと笑って火炙りにだってなれます」

「何も知らない小娘が!」

 

マティアスの頃の魔女を異常に恐れる時代背景と、個人の感情を押し殺す為政者としての立場を考えないと、なかなか受け入れられない理屈です。個の感情で動いているゾフィーと公で動いているイゼッタ。どちらが正しいということではありません。ゾフィーの方は単なるヤンデレと片付けられなくもありませんが。

この辺はそれぞれ他のキャラクターにも当てはまる作品のメインテーマになっていますね。

最後の魔女

「魔力とは大地を流れる大河のようなもの。イゼッタはその力の源泉であるレイラインの魔力を全て吸い上げてソフィーを倒すつもりです。そうなれば勝敗はどうあれ、すべての魔力と魔法はこの世界から消失するでしょう」

昨晩イゼッタから提案された無茶な作戦。個人的感情を押し殺してイゼッタに作戦結構を命令したフィーネ。列席する世界の要人たちを前に涙ながらに訴えた。

「リゼッタはこの世界で最後の魔女となる。魔法はこの世界から消え失せ、おとぎ話の中に去るでしょう。忌まわしき爆弾や禍々しき兵器たちとともに。それでもなおゲルマニア帝国は世界の覇者たるおつもりか。お答え願いたい!」

 

イゼッタは地上にある魔力をすべて吸い上げようとしていた。クローンのエクセニウムからも魔力は消え失せ、力を失ったミサイルは墜落する。イゼッタに対抗して魔力を集めていたゾフィーだったがついに力尽きる。

「わたし幸せだよ。こうして笑って終われるから。ね、フィーネ 」

集まった魔力が光の柱となって空に放出される。国中から見えるその光は魔女の戦いの終わりを告げていた。

 

前日にイゼッタが考えていたのは、魔力を根こそぎ枯渇させてしまうという、ある意味脳筋な作戦。確かにこれならミサイルも届かないし、今後魔女の脅威に悩まされることがなくなりますね。

ほぼ互角の2人でしたが最後の競り合いでゾフィーが負けたのは、復讐と献身という思いの差が出たのかもしれません。

後日談

・アトランタ合衆国は同盟諸国とともにヨーロッパ大陸への大上陸作戦を開始 。

・不可侵条約を結んでいたヴォルガ連邦もゲールに進行。

・バスラーは最後までゲルマニア兵として戦地に出撃。

・オットーが自害して戦争が終結。

 

現実世界よりも少し早いタイミングで大戦が終了しています。

生きのびたベルクマンの姿がチラリと登場。怪しげな連中に資料を渡しています。祖国の技術を土産にヴォルガあたりに亡命したということでしょうか。バスラーはやっぱりベルクマンを殺すことはできなかったようです。いろいろ責められていますが、ベルクマンだってあの状況から抹殺命令出されたら逃げるしか無いですよね。

まとめ

壮大な物語の割には1クールできれいにまとまっていると思います。

駆け足感はありますが中だるみすること無く終わった感じ。

迫力のある戦闘シーンはもう少し長く見たかった気もしますが、クオリティが下がるよりは全然いいですよね。列車をムチみたいに振り回すシーンは衝撃的でした。

戦後数年経った最後のシーンで、車椅子に乗ったイゼッタが出てきました。生きていて良かったという思いと、姿をハッキリ見せない不安な気持ちが湧き上がります。よく考えればゾフィーの最期もハッキリとは描かれていませんね。

(史実をモデルにしていることもあって)説明少なめで視聴者に委ねる場面が多い作品でした。こういう表現も余韻があっていいものです。

もう一話、オマケ的なエピソードがあるようなので、それも楽しみです。