ガーリッシュナンバー第12話「烏丸千歳と……」のあらすじと感想です。

ネタバレを含みますのでまだ見ていない方はご注意下さい。

 

 

烏丸千歳と……

雪による遅れ

「頑張って来てください」

同じ言葉を繰り返すマネージャー松岡からの電話を切って、千歳は空を見上げた。降り続く雪によって交通機関が大幅に遅れている。

仕方ないよね…、遅れても。それに私、こないだ現場の雰囲気悪くしてたし。もうある意味逆に、みんなのためにも行かない方がいいかも的な話も…。なんか顔合わせづらいし。

思い悩む千歳だったが、悟浄のメールを見ると電車を待たずに走り出した。

 

アフレコスタジオに続々と集まるキャストたち。千歳だけがやってこない。

「ちーちゃん、この前の時間空いてるはず」

千歳が来ないのは雪のためか、それとも…。

 

千歳の復活を知らないので、いらぬ心配をかけています。というか、まだうじうじ思い悩んでいるみたいですね。完全復活した訳では無いようです。

走る千歳

「初めてヒロインやったときのこと覚えてる?」

百花と万葉が初ヒロインを演じた時の肩身の狭さを語る。初めての大役でボロカスに評価される感覚が平気な役者はなかなかいない、と。

「ちーさま人の評価めっちゃ気にするからなあ」

 

すでに雪の止んでいる道を走る千歳。濡れた路面に足をとられて派手に転んでしまう。ポケットに入れていたスマホが無残に割れていた。それでも立ち上がって再び走り出す。

 

「やばいよやばいよ。アフレコ飛んだらそのまま放送まで飛んじゃうよ」

焦る九頭は、別撮りや総集編などでお茶を濁そうと提案するが、十和田にあっさり却下される。現場で見守る原作者と編集者の不安そうな顔が目に入る。

 

スタジオに到着した悟浄に、松岡が千歳の遅れを報告する。

「千歳に振り回されるのも、千歳担当マネージャーの仕事だ」

悟浄の言葉になぜか熱さを感じてテンションを上げる松岡。

悟浄の足に涙目ですがりつく九頭。千歳が間に合わなければ大きな違約金が発生するので必死だ。

 

他のみんながあっさり間に合って千歳だけ大幅に遅れるって、一体どこに住んでいるんでしょう。よっぽどギリギリに出たとか?

無責任男でもやっぱり違約金は怖いんですね。 最終回でジタバタする九頭がだんだん好きになってきました。

 千歳の独白

日が落ちた頃に、千歳はようやく到着した。走ってきたことに気づかれないように息を整えてスタジオ入りする。待ちくたびれたみんなを前にして静かに口を開いた。

「私、最初はさ。何も思ってなかったんだ。当たり前に仕事してそれが普通だと思ってて、でも違った。別にあたし特徴ある声じゃないしさ。ぶっちゃけ代わりなんていくらでもいるし」

自分が主役に据えられているのは、単にスケジュールが空いていた新人だから。自分がいなくても誰かがその枠を埋めるのはたやすい。実力が不足しているのが悪いのはもちろんだが、選んだ人も止めなかった人も悪いし、業界も悪い。このまま使い捨てで消えてしまう…。まとまらない千歳の語りが続く。

「私、この作品のことぶっちゃけよくわかんないんだけどさ、私が売れるために全力で頑張るよ。結果、この作品も売れればWin-Winだよ。何でもやる。超頑張る!」

言い終わると、いつもの高飛車な態度に戻る千歳。ホッとする空気が流れた現場で、九頭と原作者の目に光が戻った。

 

まずは詫びろ。そしてなぜ現場がいい雰囲気になっているのか全くわからない…。

という普通の感想は置いておいて、これは千歳のセリフを借りて業界へのアンチテーゼを唱えているのでしょうか。確かに今は、覚え切れないほど若い声優さんがジャンジャン生まれていますからね。ラノベ作家の原作者も、似たような立場の千歳の言葉に心を動かされたようです。

 変化

最後の収録を進める千歳たち。その芝居に感銘を受けたスタッフは、スケジュールの無理を承知で絵の変更を決意する。関係先に頭を下げに行くため走り出す九頭と十和田。

千歳も収録の終わったスタジオに深々とお辞儀をした。

「お疲れ様でした」

 

九頭が企画したDVDのお渡しイベント。百花と万葉のマネージャーはギャラの安さに難色を示したが、本人たちはスケジュールの許す限り協力を約束してくれた。

千歳・八重・京の三人も喜んで参加した。イベント会場にはそれまでと違った笑顔を見せる千歳の姿があった。

 

みんなの前では高飛車のままで。それでも心境には大きな変化があったようです。お芝居にもかなりの成長が見られます。もともと千歳には人気が出る高いポテンシャルはあるんですよね。

勝ったなガハハ

イベントの当日。きっちり寝坊して、慌てて家を飛び出す千歳。松岡と合流してタクシーで会場を目指すが、夕方の渋滞に巻き込まれてしまう。

「走ります」

タクシーを降りて駆け足で会場を目指すが、その途中でファンに囲まれてしまう。その時、同様に遅刻してきた九頭がファンを食い止める。

「ここは俺に任せて先に行け」

時間ギリギリで会場入りする千歳。大急ぎでステージ衣装に着替える。

「そうだ、私はクソ新人で何様でも誰でもない。だから烏丸千歳になれる」

手を出してみんなに円陣を促す。5人の手が重なり合って千歳が掛け声をかけた。

「せーの、勝ったなガハハ!」

 

また遅刻しています。気持ちが変わっても習慣はなかなか変わらないようですね。

ファンに九頭が戦犯扱いされていました。詳しいファンはダメなPまで把握しているのか…。

最後はライブの歌にあわせたエンディング。万葉パパが映像をチェックしています。このライブ、ネット配信されていたんですね。

会場には石神井がアニメファンのマイマイちゃんを連れてきています。マメですねこの人…。

まとめ

なんか雰囲気にごまかされそうになりますが、千歳は(九頭も)そんなに変わってはいないんですよね。せいぜいプチ成長。でも無理にスーパースターにしなかったのは良かったと思います。

もっと声優業界の裏側が描かれるかと予想していましたが、意外にライトな内容に終始していました。リアルでは、あの大遅刻のあと自分語りをしていたらメチャメチャ怒られますよね。

ときおり制作側の本音が見え隠れしている部分もありましたが、あまり生々しくないので気楽に見られるアニメでした。

登場キャラも悪意の無いいい人ばかりなので、千歳くらい性格のぶっ飛んでいる子じゃないと物語にならなそうでしたね。

千歳はまだまだ発展途上の声優のままなので、続編の可能性は無くもないかも…。九頭がクースレの作者を連れてきて、それらしいことを言っていましたからね。

九頭と石神井の因縁や悟浄と京の過去など、あまり掘り下げられていないところも気になります。

原作は続くようなのでちょっと期待しています。