うどんの国の金色毛鞠 第12話「かけうどん」のあらすじと感想です。
ネタバレを含みますのでまだ見ていない方はご注意下さい。
かけうどん
ポコの正体
ずっと考えないようにしてきた。ポコが本当は狸だってことを。
尻尾が飛び出してしまったポコのことを抱きしめながら宗太は考えた。
ポコは人間なんだ、そう思い込もうとしてた。でもどこかでずっと引っかかってた。なんでポコは人間の姿になってオレの前に現れたのか。そしてずっと恐れていた。いつかこのことがみんなにバレたらって…。
「ないない」
唖然として見ている皆の前から、ポコは尻尾を押さえて走り去った。 宗太はその後を追った。
「ポコ!逃げなくていいから。大丈夫だから。オレが一生守るから」
懸命にポコを追いかける宗太が足をとられて転倒した。右足には大きな古傷がある。
「そうた!」
転んだ宗太のもとにポコが駆け寄ってきた。ポコを抱きしめる宗太。
「ポコはもう、家族だ。オレの…」
それを聞いたポコは祈るように手を合わせる。宗太の周りに、墓参りの時と同じ金色の光が降り注いだ 。
光の中に見えた光景は、自宅のうどん屋前。高校生の自分と父親の2人が立っている。少し離れたところから2人を見守る子狸の姿があった。
『ここらの土地は化け狸が出るって有名でしてね。化け狸は人に化け、子供の姿のまま長い年月を生き続けると言われとるんです』
俊亮の語った狸伝説のことを思い出す宗太。
見える風景が切り替わる。
学生時代の宗太が子狸に餌をあげている。ふいに車道に飛び出したタヌキをかばい、車に轢かれて右足を大怪我してしまう宗太。
「ポコ、お前あの時のタヌキなの?」
ポコは小さくうなずいた。
なるほど。以前話があった宗太の事故はタヌキをかばって起きたんですね。で、恩返しにやって来たタヌキがポコだと。
でも、今の宗太はそこそこいい年齢のはず。事故から10年以上は経っているでしょう。タヌキの年齢を考えると…ああ、考えたくない。
不思議なもの
はぐれてしまった宗太とポコを心配する一同。
「最初にあの子を見たときから、不思議なものを感じとりました」
凛子と中島の2人にだけ話し始める俊介。仕事柄、異形のものに引かれるところがあるという。
「宗太さん、どうか見守ってあげていて下さい」
分かっとるわい、とぶっきらぼうに答える中島。凛子はただ不安そうな表情を浮かべていた。
単純に心配されているだけで、大きな混乱は起きていないようです。
状況をハッキリ理解しているのは俊亮。知らないはずのことまでなぜか知っています。
中島もおおよそは見当がついているようです。凛子は、不思議な力を持っている子だな、くらいの認識みたいですね。
父の思い
「ポコ、なんでいろいろ俺に見せてくれるの?」
「おとうさん、そうた好き。すきー」
戸惑う颯太の目の前に、再び別の風景が浮かび上がった。
事故直後の病室。宗太を心配して凛子と中島が病室に来ている。ベッドからは見えないが、病室の入り口まで来ていた父親の姿。
入院中にダーハマと出会った宗太は、父にやりたいことができたと告げる。しかしその思いをうまく父に伝えられない。無口な父の心情もわからなかった。
「そうだ、俺は香川キライだった。ダシの匂いがする家も、親父のことも…。でも、ポコにを会っていろいろ思い出して、親父ともっとちゃんと話すべきだったって、今は後悔している。本当にもっとちゃんと話せばよかった…」
「だいじょうぶ。おとうさん、そうた好き」
俵家の居間で、凛子がノートパソコンを父に見せている。画面には宗太がデザインしたケーキ屋さんのホームページが写し出されていた。
「よーわからんが、頑張ったんやのー」
こんな風に思ってくれていたなんて。思わぬ父親の心を知り、宗太の目から涙があふれた。
親父の打ったうどんをお客さんがうれしそうに食べる。それを見てうれしそうにしている親父。オレのやりたかった事も一緒なんだ。なのにそれをちゃんと言わずに、飛び出すように家を出て連絡もしないで …。
再び金色の光があたりを包む。
「わかっとった。やりたいことを見つけたんやなって。わしの言葉が足らんかったばっかりに悪かったの」
夕暮れの縁側に座る父が”現在の宗太”に話しかけてきた。
「違う。言葉が足りなかったのはオレで、オレがもっとちゃんと話していれば。なのに東京行って仕事に夢中になって…親父の気持ち考えもしないで」
部屋の中からポコが現れて、宗太にノートを手渡した。ノートには父のうどんの細かい作り方が書いてある。巻末には「宗太へ」の一言が添えられていた。
「いつも見とる…」
宗太に告げて彼方へと歩いていく父。追いかけようとする宗太にポコが言う。
「おとうさん、そうた好き」
「ポコ、お前それを伝えるためにオレの前に…」
「ポコもそうた好き、だい好き 」
宗太のもとに駆け寄るポコ。しかし、変身が解けて狸の姿に戻ってしまった。逃げ出すぽこ。宗太は必死で叫んだ。
「ポコ待って、行かないで!お願いだから、ずっと一緒にいよう」
まぶしい光の中でポコが再び人の姿に戻って言った。
「りん、なかじ、おとうさん、おかあさん。みんなそうた好き、だい好き。いっしょ、みんなずっと一緒。ここ…いる」
ここ…。颯太はそっと胸を押さえた。
ポコは手を振りながら光の中へと消えていった。
思春期の男の子と口下手な父親。理由もないのにイライラして会話を続けられない気持は良くわかります。
親父は勝手な自分に腹を立てたまま行ってしまったのではないか。そんな宗太のためにポコが真実を教えに来てくれたんですね。
でも、ポコとの別れはちょっと淡白すぎる気がします。
香川が好き
宗太は藤山俊亮の寺に足を運んでいた。
「あの、気づいていたんですか、ポコのこと?」
「狸が人に化けるんは大変な力を使うと聞いとります。それでもあの子はあなたに会いたかったんでしょう。そして伝えたかったんでしょう。家族は離れていても離れはしないと 」
だよな、離れない…絶対に。
「親父、オレ香川で生きていく。だいぶ遠回りしたけど、オレ香川が好きだよ」
「宗太、ご飯やで」
食卓の上には、帰省した凛子が作った食事が並んでいた。
「なんや、料理うまなったやないか」
からかうように言う中島とともに3人で食事をする 。
食べながら祭りの時の写真をチェックするが、ポコが写っているものは1枚もなかった。宗太が1枚の写真を取り出す。父のカメラを見つけた時に偶然撮影された写真。そこにはポコの姿がしっかりと映っていた。
「やっぱりポコちゃん可愛いわ。この子もポコちゃんに似て可愛いと思うわ」
凛子はそっとお腹に手を当てた。
オレにとってダシの匂いは、夕暮れどきの家のにおいて、父さんの匂いで…鼻の奥がジンとする家族の匂い。
まとめ
薄々予想はしていましたが、ポコが消えてしまいました。
タヌキの寿命ってイヌと大差ないらしいんですよね。十数年前の子狸……時のはざまを越えてやって来たと思うことにしましょう。
最初はうどん屋再建に奔走するアニメだと思っていましたが、子育てハートフルストーリーでしたね。でも、ポコの可愛さと宗太の周りの人達の温かさにほっこりするいい作品でした。
最終回の話はちょっと強引さがありますね。ここはアニオリかもしれませんが。
心配していた祭りのネット配信や野次馬の混乱は無かったことに。周りの人達もポコのことは覚えているのに、残念ね~、程度の反応。リアクション薄!
いつも思いますが、連載が続いている作品をアニメにする場合は、無理に区切りを付けずに途中でふわっと終わらせてもいいと思います。(続きが制作されなくてもそれは仕方ない)こういう風に終わらせると続きが作りにくくなりそうですからね。
ただ最後に、隣のばあちゃんに追いかけられた子狸が(鳴き声だけですが)登場したところをみると、2期の可能性も少しはあるかもしれません。
カムバック、ポコ。