オカルティック・ナイン第12話「We’re Gonna Have A Real Good Time Together」のあらすじと感想です。

ネタバレを含みますのでまだ見ていない方はご注意下さい。

 

 

We’re Gonna Have A Real Good Time Together

新・世界システム

巨大な手術室の中央に男が横たえられている。室外から鷹栖が男に向かって一礼する。

「ご尊主。すべての準備が整いました」

「ではスカンジウムの注入を開始しろ」

鷹栖がスカンジウム注入を技術者たちに支持する。その背後ではMMGのメンバーたちが見守っていた。

注入を開始された尊守が、スカンジウム注入が完了した段階で生命維持装置を切るように命じる。

「終わることのない永遠の支配がいよいよ始まる。新・世界システムを起動するのだ 」

 

尊主はフランケンシュタインみたいな外見ですね。ボイスチェンジャーのような声も、正体を隠すためではなく人口声帯なしではしゃべれないからみたいです。計画可能になるまで、科学の力で無理やり生きながらえていたのでしょう。

決戦前それぞれ

3月9日(水)

「私が稜歌の体から出ればアストラル体として超伝導体質を持った状態になる。私がウォーデンクリフガンに憑依して回路に直接電流を流す。そして、電磁波増幅器のリミッターを解除する。成沢徳生の野望を止める為だったら私はどうなっても構わない」

稜歌の中に憑依するアヴェリーヌの覚悟…。

 

我聞はラジオ局で父に話しかけていた。

「父さんはすごいよね。父さんのラジオ聴いていたリスナーは父さんに救われたんだもん。僕もね女の子を助けたんだよ、ヒーローみたいにさ。その子ありがとうって言ってくれて、そんなこと言われたの初めてだったからうれしかった。多分父さんも同じだったんでしょう。葉書読んでる父さん嬉しそうだったもん。…父さん、ぼくも父さんみたいになれるかな?」

我聞は意を決したように立ち上がる。

「ぼくも父さんみたいにならないとね」

 

サライは思考を巡らせていた。

「霊体と肉体の違いは周波数。周波数の違いは時間の違い。肉体という枷のない状態は絶対時間に縛られない」

しかし、今はオッドアイからの電磁波で生きているものの絶対時間に無理矢理シンクロされている。速度が遅くなっている状態…つまり周波数で言えば速度を引き延ばした状態といえる。

「じゃあ引きのばされた周波数を元に戻したらどうなるんだ?」

 

「理論的には可能なんだけどなぁ」

遺体安置所で自分の体の上に座り込んで考える森塚。

室内にアスナと同僚の刑事が入ってくる。森塚のことが見えていない2人はまっすぐ西園梨々花の棺桶に向かった。棺桶の中は空になっている。

「遺体を盗み出した痕跡は全くない。遺体だけが忽然と消えた」

あすなが、そばにおいてあるスケッチブックを手に取る。そこには2つの精密な絵が描かれていた。あすながスケッチブックのサイコメトリーを試みる。

「うっ!」

失敗してよろめくあすな。森塚が心配そうに見守る中、同僚に支えられるようにしてあすなは安置所から出て行った。

 

オッドアイを見上げながら話し合う稜歌と鷹栖。

「αスカンジウムは?」

「注入速度は押さえてありますが、明日3月10日の13時ごろに完了いたします」

「では新・世界システムの稼働は?」

「αスカンジウム注入完了をもって速やかに開始されます。…起動キー紛失の件ですが」

「今、下連雀のラボでスペアキーの制作を進めています。今日の日付変更までには完成します」

 

稜歌の裏切りは鷹栖に見破られていそうです。だとすると起動キーも鷹栖が警察から盗ませたんでしょうか?

サッパリ動きが読めないのが西園梨々花です。あすながサイコメトリーも出来ない存在ってかなりヤバそうな気がします。

サライの仮説

公園に集合したみんなに、サライが自分の立てた仮説を話し始めた。

「周波数にも物質と同じように弾性があると仮定してみたんだが」

サライは周波数をゴムひものようなものに例えて言う。

「周波数に弾性があるならゴムのようにパチンと戻るんじゃないか、という仮説を立ててみた。霊体が知覚する本来の時間速度に戻るんだ」

「感覚的に引き延ばされた時間なら、元の状態に戻せるはずだよね」

いつの間にかそばに来ていた森塚が促した 。

「はい、そしてここからが重要なんだが、俺たちが死んだ瞬間が時間領域の絶対的な零点となっているならば、うまくいけばその零点を基準にして時間を巻き戻せるかもしれない」

過去に戻れる。つまり生き返ることができる可能性があるという。

問題は、自分たちがアストラル体になってから現実にはどれぐらいの時間が経っているのかがわからない点だが……。

「霊界の一日は生きている人間の1分だよ」

森塚が事も無げに行った。

逆算すると、実際にはまだ死後8分ちょっとしか経っていないということになる。

「それじゃダメじゃん!どっちにしろ死ぬ前には戻れないってことでしょう。それって生き返りとは言えないですし」

我聞の反論にサライが答える。

「人間は心肺停止してから数分間はまだ蘇生の可能性があるんだ」

「数分間!?数分間ってどれくらい?」

「9分だ」

つまり死後9分間に達する前、今日の深夜0時までに時間を戻せれば生き返れる 可能性がある。

「たった9分間の出来事だったわけね。私たちの巻き込まれた事件は」

「なんというオカルティックナイン」

さらに相互認識を応用して、自分たちの体に心臓マッサージや電気ショックを施すことができるという。それをするためにはオッドアイの最大出力を利用することが不可欠だ。

 

ここでタイトル回収。

サライの話は面白い理論で納得しかけましたが、よく考えると全然わかりません。(後述)

ウォーデンクリフガン

公園に遅れてやってきた稜歌。傍らには苦しそうに倒れ込んでいるあすなの姿があった。

「悔しい、森塚さんの仇を打ちたかったのに結局私は何もできない…」

そう言って気を失うあすな。

あすながスカイセンサーといっしょに持ってきたスケッチブックを見てみる。そこに描かれていたのは、天使が雷に打たれている絵…。

稜歌から新・世界システムの起動時刻を聞いて絶望する一同。タイムリミットを13時間もオーバーしている。これでは計画を止めることができても生き返ることができない。

 

みんなが頭を悩ませる中、森塚は黙々と西園梨々花の遺品である絵を調べていた。天使の絵ともう一枚、光線銃のようなものを撃つ絵。

「あ、ポヤガンだ。これポヤガンだよ」

ウォーデンクリフガンはニコラテスラが作ったウォーデンクリフタワーの小型版。銃のリミッターを解除すれば、サライたちを過去に戻すだけのパワーはあるはず、と稜歌は言う 。

「アヴェリーヌは自分の命と引き換えにポヤガンのリミッターを解除するんでしょう。それでいいの?僕たちが生き返っちゃったらオッドアイを壊せない…」

「いいの!所詮幽霊にできることなんてたかが知れているのよ」

稜歌の諦めたような口ぶりに我聞は大声を出した。

「ちょっと待って!アヴェリーのはお父さんのために頑張ってたんでしょう。ぼくはそれに巻き込まれて死んじゃったんだよ。アヴェリーヌがそんな簡単に諦めたってぼくは納得いくわけないだろ!」

「私だって諦めたくないわよ!でも起動キーはなくなっちゃったの!だからこうするしかないの!」

鍵が見つからないことに地団駄を踏む我聞。はっきりと覚えているその鍵の形を思い描いていると、我聞の手が光り起動キーが姿を見せた。

「相互認識だ…」

キーをポヤガンに差し込むと、絵の中の銃と同じ形に姿を変える。

「リミッター解除成功」

 

便利すぎるでしょ、相互認識。

それにしてもポヤガン最終形を知っている西園梨々花の正体がますますわからなくなりました。稜歌が何も言わないということはMMG関係者でもなさそうですし…。

ヒーロー

鷹栖の携帯が鳴った。

「例のオーファンレセプターに再び急激な変化が見られました。またそれとは別なのですが量子テレポーテーションのような現象も確認されています。しかし詳細は判明しておりません。いかがいたしましょう」

作戦を見守るMMGのメンバーに席を外すと一言告げて、鷹栖は室外に出る。

「αスカンジウムの注入速度を毎時480ミリリットルに早めろ。注入完了後すぐさま生命維持装置を切って次のフェーズへ移行しろ、いいな 」

研究員に命令すると施設を出て行った。

 

起動キーの出現に沸く我聞たち。しかし、銃を使ってオッドアイを破壊するにはタイムリミットを越えて残らなければならない。そしてそれができるのは超帯電体質の我聞だけだった。

「いいよ、別にやけくそで言ってるわけじゃないから。僕にしかできないことがこの手にあるならやっぱりこの手でやり遂げたくて。ニート神のくせにかっこいいでしょう。ほら、どうせ僕なんか生きてたってアフィブログを運営しているだけのクズニートだし…」

そんなことない!と実優羽が叫んだ。

「そうだ。お前と出会わなければ俺は科学という枠に囚われ続けていたと思う。お前が俺を成長させてくれたんだ! 」とサライ。

「我聞くん、私我聞くんのことをうちの雑誌で特集するわ。霊界のヒーローニート神に迫る、なんてどう?」と桐子。

いい感じですね、と軽く合わせると我聞は森塚に言った。

「刑事さん、あすにゃん何か体やばそうだからこっち側に来ないように気をつけてあげてよ」

「もちろん、お気遣いありがとう」

「ガモ先輩やっぱり嫌だよ!ガモ先輩が生き返ら…」

「みゅーぽむ!お願いだからぼくをヒーローにさせてよ!アヴェリーヌ早く!」

稜歌はサライたち4人に向かってウォーデンクリフガンを放つ。

 

3月1日(火)

井の頭池の水面から這い上がる4人。

「成功したのか?」

濡れた体に3月の冷たい風が容赦なく吹き付ける。

「あら、あなたたちも戻ってきたの?」

夜の公園で1人スケッチをする西園梨々花がサライたちに声をかける 。

「西園梨々花さん、ちょっとお話聞かせてもらっていいですか」

森塚が梨々花に近づいていく。

「幽体離脱して未来が見える知人がいましてね。あなたの描いているその絵はまさに未来を見てきた人じゃないと描けない内容だから、あなたも幽体離脱して未来を見てきているんじゃないかと」

一瞬ニヤリと笑った梨々花は、音もなくその場から消えた。

「消えた?」

驚くサライ・桐子・実羽優の3人。

「くそ、逃がしちゃったか」

1人落ち着き払っている森塚。

「逃がしたって…あなたは一体何を追っているんですか?」

「うーん、内緒」

 

あの震えて実優羽を助けに行けなかった我聞がヒーローのような行動をとっています。成長したなと思うとともに、なんとか生き残って欲しいです。

梨々花の笑顔が怖い。あと、影がないですね。(後述)

ガモタンの使い魔

3月9日(水)

日の落ちた公園のベンチに我聞と稜歌が座っている。

「ガモタン本当にいいの?今ウォーデンクリフガンで撃てばガモタンだって…」

「父さんに会えるかもしれない。オッドアイをぶっ壊して父さんと僕の周波数が同じになったら父さんが見えるようになるかもしれないでしょう。だから残ったんだよ」

稜歌の中のアヴェリーヌも父ニコラ・テスラへの思いを語った。

「私は父の発明と理論が誇らしかった。世界システムも完成すれば世界中の人に幸せを届けてくれると思ってたから」

「だから僕にはアヴェリーヌの気持ちがすごいわかるんだ。大好きな父さんのためにも、自分のためにもぼくがMMGを止める」

我聞の力強い言葉に稜歌もうなずいた。

「稜歌様」

いつの間にか公園内に鷹栖が立っていた。稜歌の手にしたウォーデンクリフガンが最高出力モードになっているのを確認して言った。

「さあオッドアイへ戻りましょう。間もなくご尊主へのαスカンジウム注入が完了いたします」

予定よりもはるかに速い計画完了を聞いて驚く稜歌。

「さあ参りましょう。いつまで”お一人”でそこにおられるのですか」

1人で…?

鷹栖の背後にそっと回り込もうとする我聞。しかし鷹栖は、背中におおぬさを隠し持っていた。振り向きざまの鷹栖の一撃が我聞に命中する。

「残念でしたね稜歌様。私にも我聞悠太は見えているのですよ。2人で何を企んでいたのか知りませんがもう諦めてください」

我聞の体が半透明になり消えかかっている。

「やだよ、消えちゃダメだよ」

稜歌が我聞にそっと口づけをする。

「私はガモタンの使い魔だから」

我聞がふっと姿を消す。その瞬間鷹栖の手にしたウォーデンクリフガンがリミッター解除前の姿に戻る。

「相互認識だよバーカ」

驚く高須の背後には起動キーを手にした我聞が立っていた。そのまま勢い良く鷹栖に拳を叩き込む。鷹栖を完全にノックアウトすると我聞は稜歌のもとに駆け寄った。

「りょーたす、大丈夫?」

「ガモタン急いで!アヴェリーヌたんのお願い叶えてあげて」

アヴェリーヌの考えを代弁して稜歌が叫んだ。

「新世界システムの起動が早まったから、オッドアイを壊した後でも生き返りに間に合うかもしれない。だから急いで!」

 

本来消えてしまうはずの我聞にアヴェリーヌがパワーを与えて復活させたようです。希望を託してアヴェリーヌは消滅したというわけですね。

使い魔ってのはどういう意味だったんでしょう?

オッドアイのある府中に向かって必死で走る我聞。

「よう、ゴタゴタしてるみたいだな」

声の主は、亞里亞を抱えて空中で羽根をはばたかせる日下部。

「イメージしろ。幽霊にできねえことはねぇ」

必死でイメージする我聞に白い翼が生えた。空中に飛び立つ我聞。

同時刻、オッドアイ内でスカンジウム注入が完了して生命維持装置が切られた。

我聞の見る世界が灰色に包まれる。

「マジかよ…。 間に合わなかった。ごめん、アヴェリーヌごめん…」

悠太…。

顔を上げると灰色の世界に立つ父の姿があった。

「なーに泣いてんだよ悠太。男だろう」

「父さん!」

「そのスカイセンサーは父さん自慢の優れものだ。どんな電波だってキャッチできる。どんな周波数だって合わせられる」

メモリを見ちゃダメだ。耳に頼ってもいけない。手だけで感じるんだ。

周波数が合い再び元の世界に戻った我聞。

「これで終わりだあああああ!」

スカイセンサーから発せられた波動がオッドアイを破壊した。

 

相互認識があればなんでもできる。

尺が足りないのはわかりますが、オッドアイの爆発をぶつ切りにするのはやめて。テレビがフリーズしたかと思いました。

灰色の世界については後述。

キリキリバサラ

3月10日(木)

ブルームーンで話す5人。 我聞が戻らなかったことを悲しむ稜歌。

「これみてください」

実優羽がスマホからキリキリバサラのページを開く。そこには最新の記事が更新されていた。

「幽霊になっても稼ぐ気満々ね」

「じゃありょーたすも、ガモタンがいっぱい稼いでウットベリーズのフルーツヨーグルトおごってくれるのをずっと待ってるからね」

遠く離れたラジオ局に置かれたスカイセンサーが、稜歌の声に呼応するように雑音を立てた。

まとめと考察

意外によくまとまったなあという印象です。いや、よく詰め込んだなと言いかえるべきでしょうか。

ややこしい設定を1クールのアニメにする場合、大抵は説明不足で突っ走り”不足分は原作見て埋めろ”的な作られ方をします。ところがこのアニメは最初から全員早口にさせて無理に収めるという斬新(?)な手法を採っています。

でもやっぱり頭に入ってきにくいですね。素直に2クールにはできなかったんでしょうか。

いくつかの不明点を考察

時間の知覚伸縮理論

時間移動と考えると矛盾点が出てしまいますが、この理論は時間移動とは違うんでしょうか?

復活したサライたちの視点から見ると、我聞や亞里亞を含めた252人は池の底。霊体になった我聞がオッドアイを破壊(テレビのニュースで流れている)したことになります。”一人”で?

いや、我聞一人でやったわけではなく、4人も9秒弱だけ霊体になって未来で活躍した、と考えればいいのかな。

 

西園梨々花

西園梨々花については何もわからずじまい。続きはゲームでってことみたいです。

森塚刑事が事情を知っているみたいですが、そうするとこの刑事も只者じゃないことになりそうですが…。

たぶん気づいている人が多いでしょうが、この作品では霊体には影が無いんですね。

で、梨々花の死体が安置所から消えた後に、公園で傘を差して歩く梨々花には影がありました。(雷ではっきり見える)

一方、井の頭公園で復活した森塚と話す梨々花には(見えにくいですが)影がありません。つまり霊体です。さらに描いていたのはポヤガンを撃つ絵。

 

強引に推測すると…。

・西園梨々花は何らかの理由で、ある程度自由に霊体になることができる。(256事件以前も橋上教授事件を予知している)

・未来でポヤガンを撃つ現場を見て過去に戻り、再び霊体になりスケッチ。森塚から逃げるために未来へ。

・羽の生えた我聞の姿を見てそれをスケッチ。過去に戻りスケッチブックを棺に置いて復活。

 

時間を気ままに飛び回る梨々花を追う、タイムパトロールの森塚…とかね。ありがちすぎてこれは無さそうですが。

 

灰色の世界

我聞たちに向けられていたオッドアイの電磁波が尊主成沢に向けられたため、我聞は次元の狭間(?)へ迷い込んだ。それが時の流れが止まった灰色の世界じゃないでしょうか。

スカイセンサーでチューニングを合わせて復活。オッドアイを破壊したので、成沢徳生は灰色の世界行きだと思われます。おそらく他の256事件の犠牲者も。

梨々花は例外。亞里亞は…どうなんでしょう。霊体に詳しい日下部がなんとかしそうなので無事っぽいですね。(幽霊だけど)

 

 

他にもこまごました謎はあると思いますが、今のところは雰囲気だけ楽しめればヨシ。

でも続き(分岐?)も見てみたいです。ゲーム買いたくなりますね。