オカルティック ナイン第11話「大いなる目的のためよ」のあらすじと感想です。
ネタバレを含みますのでまだ見ていない方はご注意下さい。
大いなる目的のためよ
霊界との交信
ブルゥムーンに入ってくる我聞とあすな。店内にいたサライと桐子と実優羽の3人は、稜歌の様子がいつもと違うことに気づく。
「私の正体は成沢稜歌に憑依しているアストラル体、アヴェリーヌ・成沢・テスラ」
稜歌が口にした言葉を聞いて驚くサライと桐子。橋上教授の所にあったニコラテスラと成沢財閥の資料について問われると、稜歌は続けた。
関東大震災の後、ニコラテスラは復興のため極秘来日していた。その際資金援助をしたのが成沢財閥。その時恋に落ちた成沢財閥令嬢の事の間に生まれた一人娘、それが私だと。さらに、そのまま自分だけ日本に残り父の研究開発を引き継いだことが、稜歌の口から語られた。
「ある部分で、父の理論の発展系を見つけてしまったの。…霊界との更新」
晩年は霊界の研究に明け暮れていたというニコラテスラ。幽霊の正体がアストラル体であるというところまでは解明していた。その後アヴェリーヌがアストラル体と電波の関係を突き止めて、霊界との交信理論を確立した。
「そうか、周波数!?」
電波の周波数スペクトルの違いを、時間の長短に置き換えて理論立てている。生きていれば脳から電気信号が出て、それが肉体に伝わり動く。ところが死者は肉体がないため、電気信号はダイレクトに動きにつながる。 両者の生きている絶対時間が異なるため、互いの存在を視認することができない。
「でもなんか変じゃない?それならどうして僕らは生きてる人たちの事が確認できるの?」
「それが今回の事件につながるの。あなたたちニゴロ事件の被害者は、無理やり生者と同じ周波数に調整されている実験体の幽霊なのよ」
こういう空想科学の話を聞くのは嫌いではありませんが、さすがに全部理解するのは無理みたいです。
幽霊と人間は時間の流れが異なるのでお互いに干渉できない。ただしMMGの実験により我聞たちは生の世界にチューニングを無理やり合わされている。なので普通の(?)幽霊を見ることはできないと。ひとまず、これだけ頭に入れておきます。
オッドアイ
空軍基地廃墟。
霊体に向けて電磁波が照射し続けている巨大な電磁塔を持つ施設。『オッドアイ』と名付けられたこの場所に、高須たちMMGのメンバーが集結していた。
「今後は実験体ではなく、スカンジウムを購入した第二世代に向けるわけか」
「えー、ご尊守の死と復活を執り行った後、第二世代以降へと切り替えます」
施設内の研究員から異常な電磁気レベルに達するものの報告を聞く高須。モニターには我聞の姿が映し出されていた。
「稜歌様が対応しております」
ざわめくMMGメンバーに高須はピシャリと言い放った。起動キーを紛失した稜歌を責めるような口ぶりの鳩山だったが、高須に諌められて言葉を濁した。
「まぁ、ご尊守の寿命が尽きるときまでに用意できればいいわけだからな。あと数ヶ月といったところか」
「それが、ご尊守の寿命はあと一日程度かと」
議員の鳩山がびびっているところ見ると、尊守というのはよっぽど恐ろしい存在のようです。で、ご尊守、つまり成沢徳生の寿命が近いため、起動キーを使って早くガモンたちのような霊体に変えたいと。しかし、タイムリミットがあと一日しかないと…。
稜歌の立場が微妙ですね。MMG側で動いているとは思えませんが、組織は裏切りを把握していなそうです。アヴェリーヌの存在を知られてないのでしょう。もしかしたら他の目的があるのかもしません。
マスターの正体
「和泉公平さんですね」
降りしきる雨の中あすなは、ゴルフバックを抱えてブルームーンに戻ってきたマスター和泉公平に声をかけた。
この店は2年前につぶれて空き家になっている。保健所に問い合わせてもそれ以降食品衛生許可申請が提出された記録がない。あすなが問い詰めるとマスターは店に入るように促した。
店内では稜歌の口からMMGが行おうとしている死者ビジネスの全貌が語られていた。
店内に入ってくるあすなとマスター。マスターが稜歌に声をかけると同時に あすなが拳銃を抜いた。
「全員 動かないで!」
突然の出来事に驚く我聞の言葉を無視して、あすなは言った。
「和泉公平さん。あなたにはこの場に誰がいるように見えますか?」
自分とあすなと稜歌だけだ、と答えるマスター。
「では、我聞悠太という少年を知っていますか?」
マスターのとぼけた答えを聞いて、あすなが拳銃を発砲した。驚いてカウンターの椅子を倒す我聞。
「ちょっと何やってんのよ!アンタはもう黙ってなさい」
「今誰と話していました?今話していたのは私とあなただけだったはず。それなのにあなたは今、椅子を倒した我聞くんと話しましたよね」
その瞬間マスターの表情が豹変する。キッチンにあった包丁をあすなの顔めがけて投げつけてきた。すんでの所でかわすが、 持っていた拳銃ははじき飛ばされてしまう。マスターはゴルフバックの中からおおぬさを取り出して、我聞に襲いかかった。その攻撃から身を呈して我聞を守る稜歌。
おおぬさに触れると我聞たちは消えてしまう、と口にする。
「 稜歌様、まさか裏切るおつもり?ご尊守が許さないわよ」
「残念、私は稜歌じゃないから」
混乱する我聞の前でマスターはお面をかぶってみせた。
「私はただの八福神の教祖よ」
額に八の文字が書いてあるお面を見て凍りつく我聞。
「そう、あんたの父親が教祖だった宗教のお面。でも邪魔になったから殺して私が教祖になっちゃったの」
吉祥寺で人気のあった我聞の父親に、合法的にお布施を集めやすい宗教法人化を進めた。MMGの指示で団体をスカンジウム売買に使おうとしていたことがバレたので邪魔になって殺した。マスターはペラペラと自らの悪事を語る。
「MMGが無作為にスカンジウム適合者を探しては実験体を選んでいた。人が最も日常的に信頼し、頼らざるを得ない病院を利用して」
そう言うサライに対して、橋上教授殺害も自分の仕事だと告白するマスター。
「サライくんのお父さんも我聞くんのお父さんと同じこと言ってたっけな。息子に手を出すな、とかなんとか。父親の愛って不変なのね。まぁ、手
出しちゃうけど! 」
マスターは再びおおぬさを振り回す。壁に追い詰められる実優羽と桐子。その時我聞が叫んだ。
「やめろおおおっ!!」
スカイセンサーから飛び出した波動がマスターの動きを止める
「いい加減にしてよ!次から次へとなんなんだよ。ぼくは好きだったんだ、ここでキリバサ更新して、みんなとどうでもいい話して、マスターとドリンク飲んで、あの時間が好きだったのに」
涙を浮かべて叫び続ける我聞。
「返してよ!あの時間を返して!父さんを返して!サライのお父さんも!みんなの大切な人、なんで簡単に奪うんだよ!」
稜歌が我聞の背中にポヤガンを構える。
「私を信じて。行け!ガモタン!」
ポヤガンが発射されると同時にマスターの顔面に拳を叩き込む我聞。お面が砕け散りマスターは壁に叩き付けられて気を失った。
マスターがペラペラ説明したせいで一気にいろんなことがわかりましたね。オカマがいい人という法則は消え去ってしまいました。
まさか我聞の父親とサライの父親の2人を殺した犯人だったとは。しかも八福神の会の教祖。先週、一般人にまで手を挙げていたお面の男ですね。とんでもない極悪人でした。
我聞たちを見ることができるということは、こいつもスカンジウム適合者なのでしょうか。
我聞の資質
オッドアイ内部のモニタールームでアラームが鳴り響く。
「先程のバグが…シンクロ率382パーセントに跳ね上がりました」
研究員が告げる。
シンクロ率がそこまで高まると、ほぼ現実世界に存在しているのと同じ状況だと高須は説明する。
「一時的なものですので今はもう93パーセントまで落ち着いていますが、やはり第一世代のバグは早めに対処しておきましょう。和泉にこの少年は優先的に消去するよう連絡しておきます」
パトカーで護送されていく和泉ことマスターを見送ると、あすなはブルームーンに戻る。店内では、実優羽の前で我聞が頭を下げて謝っている。
「この前はごめん。僕だけ行かなかったんだ安命寺。ほんと僕クズだから…」
「ガモ先輩はクズなんかじゃないですよ。さっき助けてくれたもん」
実優羽の言葉に同意するように、サライも我聞の肩をぽんと叩いた。
「成沢稜歌、あなたを拘束させてもらいます。全ての原因であるMMG総帥成沢徳生の孫であり重要参考人だわ」
FBI捜査官であるあすなとアヴェリーヌが乗り移っている稜歌。複雑な2人の説明に我聞は苦労していた。
亞里亞と莉愛
「あなたは本当に私の悪魔ですか?」
日下部に尋ねる亞里亞。
「自分でもよくわからない。俺の知らない記憶が蘇ってきてるんだ」
日下部が口にしたのは亞里亞が住んでいた館での光景。兄貴春の記憶そのものであった。詳しく聞くため亞里亞が質問しようとすると森塚が現れた。
日下部との情報交換のためにやってきたのだ。
「僕が聞きたい情報は君の幽体離脱中に起きる時間の戻し方についてだ」
時間の…?
いぶかしがる亞里亞の前で日下部が答えた。
「結論から言う。時間の巻き戻しなんてことはできない。残念だったな」
さらに付け加える日下部。
「ただ、幽体離脱することで時間の進みが速くなることは間違いないがな」
日下部の説明では、幽霊時間の一日は絶対時間の1分に当たることになる、ということだった 。
満足した森塚に、今度は日下部が調査結果の報告を要求する。
「燃料電池工場での爆発事故で、君はかなり肉体にダメージを負ってしまった。すぐにでも臓器移植、特に角膜移植をしないとまずい状況だったわけ」
日下部が担ぎ込まれた病院には、妹を救うために生体腎移植に挑んだが失敗して脳死状態になっていた兄、水瀬貴春がいた。
「臓器移植で以前の人の記憶が移植された人に乗り移るって都市伝説は聞いたことないかなぁ。あながちそんなオカルトも本当にあるのかもしれないね」
そう言い残して出ていく森塚。
兄の臓器が宿る日下部を前にして亞里亞こと水瀬莉愛は涙を流していた。
「ずっとお兄様に会いたいと思っていました。そして死んでしまった今、ようやく会えるものだと思ったのに、それでも全然お兄様には会えなくて。もういいなんて一度は言いましたけど本当は寂しくて。でも本当はずっと前から、踏切で出会ったあの時から私に会いに来てくれたのですね」
リア…。
はい、お兄様。
なんかこの2人だけいい雰囲気で終了、みたいな感じになってます。まぁ、血のつながった兄(遺体)を愛するよりは、血の繋がっていない日下部とくっついた方が健全なような気がしますね。
日下部の言う幽霊時間の話は、アヴェリーのが説明していたことと大体一致しますね。時間を逆行することは幽霊でもできないようですが、森塚には何か考えがあるようです。
起動キー
「井の頭池事件被害者の死亡推定時刻は3月1日の午前0時から午前3時の間。時間がない…」
森塚は歩きながらそうつぶやいた。
「私は成沢徳生の野望を止めたい。父の世界システムを悪用して永遠の支配とビジネスをするなんて許すわけにはいかない。だからオッドアイを破壊する」
稜歌の体に憑依したのは、祖父である徳生やエムエムジーの計画を探るのに最適だったから。憑依をやめれば、本物の稜歌はこれまでの記憶を残したままもとに戻るという 。
元空軍基地という警備の固そうなオッドアイの破壊が可能かと尋ねられて、稜歌は続けた。
「必要なものはほぼそろっているの。まずはこのウォーデンクリフガン。ポヤガンの本当の名前。これに起動キーを差し込めば使えるわ」
起動キーは橋上教授がインプラントニシテ奥歯に隠していた。そしてそれを引き抜いたのが我聞。その事実を聞いてサライは驚いた。
「なんでガモ先輩に?」
「最も安全な場所に隠すしかなかったの。だってガモタンはいずれ死ぬってわかってたから」
ガモンを大盛寺に向かわせたのも鍵を回収させるためだという。
「それってちょっとひどくない?めちゃくちゃ怖い思いした上に死ぬからって…」
そう責める我聞に謝る稜歌。しかし計画には、特別な力を持つ我聞が霊体になるという条件が必要だという。
「オーファンレセプターと言って特殊な受容体を持っていることで人より多く電磁気を帯電することができるの」
その人間が霊体になると限界なく電磁気を溜めることができる。さらに我聞の父が改造して中にテスラコイルが内蔵されているスカイセンサーを使えば、その電磁気を放出することができる。その力で…。
「オッドアイを破壊する」
警察に保管されているという鍵を取りに行こうとする稜歌。だがアスナに遺品の中に鍵はなかったと断言される。我聞が慌てて手持ちの鍵を取り出すが目の前でその鍵が消失してしまう。
「相互認識だ。あすにゃんの言葉で本物じゃないって認識したから消えちゃった。鍵は本当にないんだ」
稜歌の話を理解してあすなの持つスカイセンサーを見たため、我聞の持っていた方のスカイセンサーも消失した。
キー無しでは作戦を決行できない。稜歌は何かを決意したように顔を上げた。
「私がキーになる。そしてオッドアイを破壊する」
森塚は時間を戻して事件の被害者を全員生き返らせるつもりでしょうか。単独で動いているので事件の全容をどれぐらい把握しているのかいまいちわかりません。
そして我聞にようやく主人公らしい活躍の場面がやってきそうです。
まとめ
怒涛の解決編でしたね。事件の全容がだいぶ見えてきました。
マスターがこんな極悪人だったとは…。謎が多いキャラでしたが我聞たちを助けてくれる立場の人だと思っていました。
主要メンバーはほぼ集結。あとは森塚と合流して作戦を決行するのか別で動くのか…。
サッパリ不明なままなのは西園梨々花だけ。不気味です。
起動キーを警察内から盗んだやつがいるはずです。梨々花のしわざか、警察内にMMGの生きの掛かった人間がいるのかもしれません。
最終回が楽しみです。