3月のライオン第6話のあらすじと感想です。

ネタバレを含みますのでまだ見ていない方はご注意下さい。

 

 

神様の子供1.2.3

どこかへ行ってしまいたい

「どこか行きたい」

川本家の団欒の中で零はふとつぶやいた。それを聞いて、行きたい場所を次々と口にする川本家の人達。しかし零は自分の行きたいところを尋ねられて初めて気付く。自分はどこかに行きたかったのではなく、どこかに行ってしまいたかったということに。

 

プロ順位戦のために移動教室への欠席届を担任林田に提出する。無事に受理されたことに内心ほっとする零だったが、その心情はあっさりと林田に見透かされた。

「まぁ、プロ棋士に余分ない時間がないのは分かるけどな…でも、これだとお前何のために高校に入り直したのかわかんないよな」

 

脳裏のモノクロな光景の中で香子が言った。

「家もないし家族もない。学校にも行ってない。友達もいない。あなたの居場所なんて、この世のどこにもないじゃない」

その通りだと思った。だからこそプロになって自力で生活できれば、そこが自分の居場所になるんじゃないかと考えた。

 

相変わらず辛気くさい主人公です。でも過去の事情知ると仕方がないとも思いますね。周りにはいい人ばかりいるのでもう少し前向きになってもよさそうなものですが。

何度も出てきた回想の中の女性はやっぱり香子だったようです。いつも下着姿で登場するのが2人の間に何かがあったことを感じさせます。

 

プロの大海原

零が所属するC級1組は現在30人の棋士がいた。その中で昇級できるのは、3つのブロックに分かれたリーグ戦で上位2位までに入った6人だけ。プロ2年目の零は、初の2連敗を喫して昇級の目をすでに失っていた。

果てのない大海を泳ぐようなプロ棋士の世界。 幸田の家を出るという目標を死に物狂いで達成した零は、既に次の目標まで立ち向かう気力を失っていた。

 

なんだか将棋の世界が地獄のように描かれています。確かに零は好きでこの世界に入ったわけではないので、天才たちが集うこの厳しい世界に身をおくのは、精神的にもしんどいかもしれません。将棋の世界では 1度四段になって プロになるとそこから降段することがありません。何とか食っていけるということもあって入り口でくすぶってしまう棋士が多いのかもしれません 。

宗谷冬司名人

屋上前の階段で1人パンをかじる零の前に林田が現れた。ニコニコ顔で将棋雑誌を差し出す。自作の詰め将棋が雑誌に掲載されたのだ。

表紙を飾っているのは現名人の宗谷冬司だった。将棋界の歴史で中学生の内にプロになったのは宗谷名人を含めて4人。その全員が名人か何かのタイトルを取っていた。だが5人目の中学デビュー零は…。

「僕はすごくないです。全然すごくないです」

そう言う零に、林田は食べていたカツサンドのカツを差し出した。どうやら零の連敗を知っていて元気付けるつもりだったようだ。

「お前はもう一回学校に入ってきたのって、勉強がしたかったからじゃないよな?たぶん」

言い当てられて、零は何も言えなかった。

 

宗谷名人登場、やたらクールな印象です。寒そうな時期の回想だからでしょうか。

林田先生は随分零を気にかけているようです。オブラートに包んだ物言いをしないのも、かえって礼を傷つけない優しさという気がします。当然、過去の事故のことも知っているのでしょう。

 

シェイクと野球少年

月が変わり、零がもう一つ黒星を重ねていた。勝つ理由がないと言いつつ負けると苦しいのは何故なんだろう…。

ふわふわと漂うような気分で街中を歩いていると、偶然ひなたと出くわした。2人連れ立って商店街のほうに歩いていく。途中のファーストフード店の前でひなたの足が止まった。シェイク100円のノボリを物欲しそうに見つめるひなたに、零はごちそうしてあげることにした。

「うちにおいでよ。いっしょにご飯食べよう」

ひなたがシェイクを飲みながら零を夕食に誘う。零の元気がない様子を見て心配してくれているのは明らかだった。

ひなたやあかりが日々一生懸命に手伝いや仕事をしていることを考えると、零は情けなさで自己嫌悪に陥っていた。

ふと顔を上げるとひなたの表情が固まっている。後ろを振り向くと中学校で見かけた野球少年の高橋が立っていた。興奮してシェイクをこぼすひなた。一目散にトイレに駆け出していってしまう。零は高橋とその場に2人で取り残された。

零のことがどうしても放っておけないひなた。最初は零のことが好きなのかと思いましたが、恋愛感情とは別物のようです。そして高橋くんが現れて興奮のあまりコップを握りつぶしてしまいます。テンパりすぎでしょ…。

まとめ

今回も将棋の世界の厳しさを表すエピソードでしたね。

この先の物語に絡んできそうな宗谷名人。やはり羽生善治さんがモデルなんでしょうか。羽生先生も中学生の頃からプロの世界で活動していますね。あの人のような天才でも零のような葛藤を感じたことはあるんですかね。凡人には想像も付きません。

そして野球部の高橋くん登場。このアニメには珍しく次回引っ張る展開ですが楽しみです。