3月のライオン第8話「面影/遠雷1」のあらすじと感想です。
ネタバレを含みますのでまだ見ていない方はご注意下さい。
面影/遠雷1
にかいどうはるのぶ作
将棋の駒一つ一つの特性を猫に例えて解説する二海堂。ひなたとモモは目を輝かせながらその説明を聞いている。零の話を聞く時の態度とは大違いだ。
「くそ、二海堂め。しかし、この本結構わかりやすいな。どこから出てるんだ?」
零は二海堂が持ってきた絵本を改めて確認する。すると、作者名には”にかいどうはるのぶ”の文字があった。
「うん、俺が描いた。気づいてくれたか」
絵を得意とする二海堂が描いたものを、出版社に頼んで本にしてもらったらしい。それを知ったひなたとモモは、さらに二海堂へ尊敬の眼差しを向けていた。
「いやあ、2人とも興味を持ってくれてよかった」
帰り道、零の後をテクテク歩きながら二海堂はそう力説した。
「どこまでついてらっしゃるので?」
尋ねる零に、二階堂はさらりと零の家に泊まるつもりだと打ち明ける。零のマンション前には執事の花岡と引越し業者がスタンバイしていた。唖然とする零の前で、手際よく荷物が運び込まれる。
「このベットは折りたたむとソファーにもなる優れモノだ。ぜひ使ってくれたまえ。遅くなってしまったけれどね、君への引越祝いだよ」
二海堂は運び込まれたベットに横になったままそう言った。
二海堂のエネルギー
将棋会館で一服している零のもとに松本と三角がやってきた。
「NHK杯見たぞ、お前の対局。ていうか二海堂の熱い解説」
二人から、二海堂が熱のこもった解説後に貧血で座り込んでしまったことを聞かされる。
「頼むよ桐山。二海堂をがっかりさせないでくれ」
例の戦績は現在3勝3敗。ここで踏ん張らないと降級点がついてしまい、しんどくなるのはわかっていた。
決して体が丈夫なわけではない二海堂の、あのエネルギーはどこから来るのだろうか?あの情熱を側に感じると、自分がイヤになりそうで胸が苦しくなった。
みんな二海堂が好きなんですね。零だけが二海堂を避けがちなのは、自分の影の部分が浮き彫りになってしまうからでしょう。
零は二海堂の身体が丈夫でないことは把握しているようですが、はっきりと病気のことまでは知らないようです。
将棋の楽しさ
ひなたとモモがすっかり将棋に夢中になっていること。相米二も孫と将棋を指せるのを楽しみにしている。そんな話をしていたあかりの言葉を思い出す。
「そうやって考えると将棋って不思議ね。何百年も昔からあって、今でも盤と駒さえあれば普通に家で楽しめて。しかも一回覚えてしまえば、大人も子供も全然関係なくみんな真剣に楽しめるなんてね。それも一生、不思議なゲームね」
その言葉は、幼い零と将棋を指す父の姿を思い出させた。小さく前後に揺れながら左手を頬に当てて腕を組む。父が夢中になると出す癖を見るのが零は好きだった。
なんで、忘れてたんだろう。ぼくは今、父さんが焦がれた棋士の世界に立っているんじゃないか。
幸田香子
零が自宅に戻ると、入り口で夜風に吹かれながら香子が立っていた。
「久しぶりね、零」
感情を押し殺して駅まで送るという零を無視する香子。強引に部屋に上がり込んだ。品定めするように部屋を見渡しながら次々と質問してくる。時計の針は12時を回りそうだ。
「香子さん終電が…」
「あんたが帰れば、あの家に。そのほうが父さんも喜ぶわ」
そう言ってシャツに着替える香子。しばらく家に帰ってないらしい。
「まだあの人といるの…?」
零の脳裏によみがえるのは、香子の傍らに立つ危険な黒い影の男。香子は未だにあの男の側にいるようだ。
翌朝、出て行く前に零の順位戦の相手について語り出す香子。C級1組まで落ちてきた65歳のベテラン棋士松永。
「松永さんC1から降級したらついに引退するらしいわよ。気が重いでしょう、長生きして老いた犬の首を絞めに行くようなものだものね」
粘りつくような言葉を残して杏子は部屋から出て行った。
回想ではなく実物では初登場の香子。後藤とか言うバイオレンスな男と行動を共にしているようですが零と一体何があったんでしょう。
去り際に零の心を揺さぶる発言をしたことから、いまだに零のことを恨んでいるようです。
まとめ
これまでチラチラ回想に出てきた義理の姉香子がようやく登場しました。
もっと荒っぽい女性かと思いましたが、ねっとりと人の弱いところを突いてくるタイプのようです。ヤバそうな男とつるんで危険な香りもします。美人ですけどね。家を出る前の零とは何かがあったようですが今のところは不明。
前半パートでいきなりニャー将棋音頭が始まって驚きましたが、後半を見て納得。この暗い雰囲気でニャー将棋は流せないですよね。
引退をかけた老棋士との対戦。次回も暗い話になりそうです。