3月のライオン第9話「遠雷2/遠雷3」のあらすじと感想です。
ネタバレを含みますのでまだ見ていない方はご注意下さい。
遠雷2/遠雷3
優しいから
「 何か心配なのよね。あなたってこういうとき、わざと負けてあげたりしちゃうんじゃないかと思っちゃって。だってほら、あなたって優しいから」
対局に向かう零の頭の中で、香子の声が反響する。
対戦相手の松永七段はプロ棋士生活40年の大ベテラン。自分の人生の倍以上を過ごしてきた松永の将棋人生に思いを馳せる零。勝負の前に立ち寄った神社には、その松永の神に祈る姿があった。
松永正一
零の待つ対局室に開始時間ギリギリで入ってきた松永。すぐには席につかずやはり落ち着かない様子だった。対局が始まってからもその落ち着きの無さは続く。持久戦とも休戦ともつかぬ方針の定まらない手を指し続けた。
「読めない、なんだこれ?行き当たりばったり…なわけないよね。多分かく乱だよね」
そう思った零だったが、松永の動揺した様子やミエミエの三味線を見ているうちにいたたまれなくなってきた。
「もう、終わりにしよう…」
15分後、負けを認めた松永が持ち駒を盤上に放り投げる姿があった。
王様を巣穴にこもるクマに例えたり、ドラクエの戦闘画面を使ったりとコミカルな演出。 将棋のルールが分からなくても楽しめる内容になっているのはいいですね。
駒を放るのは負けの合図ですが、マナー違反なのでやってはいけません。本当にこのオジサンは、40年のキャリアがあるベテラン棋士なのでしょうか。
うなぎ
早々に対局場を後にしようとする零だったが、松永とばったり出くわして鰻をおごる羽目になってしまう。
高級なうなぎとビールを口にしてご機嫌になった松永は、零の性格の固さを指摘してきた。
「まぁ、あの幸田が育ての親じゃな。あれもホント優等生でただ強いだけの面白味のない奴じゃった。そういや娘もまた憎たらしい奴じゃったの」
香子を毒婦と評する松永。酒が進むと今度は、出身地会津の藩主である保科正之について、講談師のように語りだした。コロコロ変わる酔っ払いの話題についていけない零。
もう一件行こう、と千鳥足の松永は言った。
将棋好きですか?
夜風が吹く川辺の道で、松永が静かに口を開いた。
「勝てる気がせんかった…。ほんの髪の毛一筋も勝てる気がせんかった」
平凡な棋士人生を歩んできた松永にとって、史上5人目の中学生プロである零は、ただただ悔しく眩しい存在だった。まるで自分の将棋人生に幕を引きに来た死神のような存在…。。
対局室で零の顔を見て、一度は正々堂々と戦って散る気持ちを固めた。しかし、いざ勝負が始まってしまえば負けたくないという気持ちだけがどうしようもなく込み上げてきた、という。
「松永さん、将棋好きですか?」
零の問いに、しるもんか、と答える松永。
「勝った時は叫びだすほど嬉しくて、負ければ内蔵を泥靴で踏みにじられるほど苦しくて、世界中に生きる価値なしと言われてるような気持ちにさいなまれた。それなのに辞められなかった。この気持ちを、そんな言葉なんぞで言い表せるものか!」
言葉を絞り出す松永の目からは涙が溢れていた。
引退を撤回した松永。酔っ払ってひとりで立てなくなった松永に、零が肩を貸す。
「なあ、お前からも女房と娘を説得してくれんか。引退しないと決めたことを」
「皆さん心配しているんですね。棋士は体力が要りますもんね」
「やめたくないんじゃ、今まで将棋のためだと言って家では一切何もしてこんかった。これでやめたら家族からどんな仕返しがあるかわかったもんじゃない。恐ろしい…。皿洗ったり孫洗ったりさせられる」
洗おうよ、引退しなくても…。
まとめ
香子の毒針のような言葉に引きずられて、苦戦するかと思いました。将棋自体は楽勝だったようです。香子に電話で松永の引退撤回を告げるところは一矢報いた感じがありました。
将棋に魅せられた人生の悲哀が感じられましたが、松永のダメっぷりがコミカルだったので暗い話にならず良かったです。
前半パートで流れたニャー将棋(3曲め)で全部の駒説明が完了してしまいました。もう新曲は無いんでしょうか。今度は、定石や囲いで歌を作って欲しいですね。